。 岩元辰郎氏(以下,岩元氏): 実を言うと,僕はこの仕事の話をいただくまで,自分が乙女ゲームに関わることはないと思っていたんですよ。声をかけていただいたときには「何で僕が乙女ゲーム?」と思いましたね。そこでさらに「稲船さんが出演する企画だ」と言われてますます混乱したんですが,とりあえず面白そうだからやってみようと(笑)。 : 実際,稲船さんをキャラクターに起こすにあたって,苦労などはありましたか? 岩元氏: 勢いで引き受けたのはいいけれど,いざ稲船さんを描こうとしたときは「何で引き受けちゃったんだろう?」とは思いました。難しかったですよ。ものすごく格好よくする,またはリアルに描く,この二つのアイデアを基に,イメージを作っていきました。 稲船氏: 格好いいの対極がリアル……今,ちょっと馬鹿にされたような(笑)。 岩元氏: いやいやいや!(笑)。乙女ゲームの男性キャラは,現実にはいないくらい格好よくないとダメですから。それを踏まえて,どこまでリアルに寄せるべきかということです。 ゲーム内に出てくる稲船敬二氏 稲船氏: でも,確かに岩元君はかなり気を使って格好よく描いてくれたよね。IFさんが別のタイトルで描いた僕の絵なんて本当に酷くて,何かもう素っ裸の猿みたいなヤツだった。僕はほとんど何でもオーケーを出すけど,さすがに「これはダメ」と言っちゃうくらい酷かった。 岩元氏: ただ,ドラゴンクエスト10 RMT,そうやって飛び込んでみるIFさんの勇気は見習いたいです。 僕の場合は気を使ったというよりも,ちゃんと「稲船さんだ」と分かること,そしてゲームの世界に馴染むことのバランスを考えたんです。ほかのキャラクターでは「もっと格好よく,もっと色っぽく」という指示を受けている中で,一人実在する人物を描くのは難しかったですよ。 稲船氏: 僕も絵を描くので分かるんだけど,似顔絵って難しい。子どもの頃,僕が似顔絵を描くと,周りの皆は「似てる」って言うんだけど,描かれた本人は嫌がる──とくに女の子は泣いちゃってたんです。 岩元氏: ああ,喜ばれないタイプの似顔絵を描いちゃうんですね。 稲船氏: そうそう。特徴を捉えて描くので,その子のコンプレックスを刺激しちゃうんです。目が離れているとか,鼻が丸いとか,その子が気にしている部分を強調するので,本当に女の子には嫌がられましたね。でも興味があるから,似顔絵を描きたくなるんです。愛情表現なんだけど伝わらない(笑)
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