2013年1月28日月曜日

不定期連載「徳岡正肇の これをやるしかない!」,今回はゲーム版「Magic The Gathering Duels of The Pl

 さて,MTGは実に多様な展開を見せたが,一つだけ空白地帯が存在したMTGのPCゲーム化である。  これまでも,MTGをモチーフとしたゲームが発売されたことはあった。だが,そのほとんどは「MTGをモチーフとしたゲーム」であって,原典からは割と遠かった(例外はDC版)。  また,オンラインでMTG対戦ができる「Magic Online」(MTGO)が存在するし,同人レベルで作成された対戦ソフトもいくつかあるが,それらはすべて対人戦が基本であり,AI相手にソロでプレイすることはできなかった。  そんな中,2009年にXbox LIVEアーケードで発表された「Magic The Gathering Duels of The Planeswalkers」(DotP)は,「ほぼMTG」といえるルールと,シングルでプレイ可能なAIを備えていた(ネットワークで対戦もできる)。  そして2010年6月,ついにDotPがPCにも移植された。まさに連載のタイトルどおり,元ギャザラーなら「これをやるしかない!」わけだ,FF11 RMT。製品としては英語版しか存在しないとはいえ,それが問題になるギャザラーなんてほとんどいないだろう。  ……さて,力強く紹介しておいてアレだが,先にはっきりさせてしまうと,DotPはあまり「マジック」ではない。以下,どこにどんな問題があるのか,箇条書きにしてみよう(パッチで修正されていく可能性があるので,あくまで2010年8月現在顕在化している問題と考えてほしい。また,細かに見ていけば,これ以外にも問題はあるだろう)。 ?デッキが構築できない  いわゆるプレコンデッキが用意されていて,それを使うことしかできない。プレコンデッキは10種類オーバー(DLC込み)が存在し,それぞれ勝利するたびにカードがアンロックされていくが,「アンロックされたカードをデッキに加える/デッキから抜く」ことはできても,デフォルトでデッキを構成しているカードをサイドに落とすことはできない。  土地の枚数は,投入したカードの枚数に応じて自動的に決定される。土地を絞ったり,増やしたりすることもできない。 ?フェイズに省略がある  なかでもエンドフェイズが存在しないのが痛い。タップアウトしているならともかく,マナが十分に足りている状態でターンエンド(のように思える相手のメインフェイズの終わり)に《Unsummon》や《Boomerang》を打っても,その場で必ず再プレイになる。 ?インタフェースは改善を要する  パッドを前提としているのか,操作性が良くない。パラドゲーのプレイヤー(筆者)をして操作性が悪いと思わせるのだから,どれくらいかは推して知るべしだ。ネット対戦もあるため,行動起点の受付はリアルタイムで進行するが,少しでも油断すると自分の望むスペルやエフェクトを使うタイミングを失う(アタックフェイズ前のメインフェイズが特に飛びやすい気がする)。  一方,ボタンを押すまでゲーム進行が完全に停止するシーンもある。すべてにタイマーをつけるか,すべてを完全停止するか,どちらかが望ましかったと思う。  さて,先に悪い点を列挙してしまったが,ならばDotPは今回も「MTGをモチーフにした」タイトルに過ぎなかったのかと聞かれれば,実はそうでもないように思う。  とりあえずDotPには,DC版にあったような露骨なツミコミは感じられないし,極端に運に作用される効果を持ったカードも見当たらない。カード1枚1枚はMTGの基本に則ったもので,懐かしいカードも少なくない。  またデッキを組む要素があまりないというのも,これが「シールドよりはちょっとマシ」程度の,ほぼリミテッドだと理解してしまえばさして問題にはならない。一応,アンロックされたカードの取捨選択で,aion RMT,ある程度までデッキの強さが変わるので,努力する意味がまったくないというわけでもない。  むしろDotPは,「しばらくMTGから離れていたプレイヤー」にとって,必要十分にMTGだと言えるだろう。筆者の場合,購入後24時間のうち20時間くらいプレイしたと思う。それくらい,いろいろなことを思い出させてくれるゲームなのだ。  AI相手のシングルプレイやネットワーク対戦だけでなく,懐かしの「Magic the Puzzling」が用意されていたり,ネットワーク対戦では3人戦/4人戦をはじめとする双頭巨人戦といった多人数フォーマットも用意されており,遊べるコンテンツはなかなか多い。DLC第一弾も発表されており,今後に期待できそうなところも魅力だ。
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